職人技VS機械技。至高の目立てを目指して。
燕市における金属加工の歴史は、同市がまだ越後と呼ばれた400年前の江戸時代初期、和釘の製造から始まった。戦後はその多くが洋食器の製造へと移行。大正時代の最盛期に燕市内で800軒あったヤスリ工場は、いまや3軒を残すのみ。そのうちの一社が、ヤスリ面にカーブを付ける独自の技術で知られる〈柄沢ヤスリ〉です。高齢のヤスリ職人としてマスコミからも注目を集めた岡部キン氏が2023年5月、100歳を機に引退。この岡部氏の技を引き継いだのが須佐香氏です。同社が主に製造してきたのは工業用のヤスリですが、次第に需要が減り、別のヤスリも製造しないといけなくなり、プラスチック用のヤスリや爪ヤスリの製造も始めました。「その際、それまで工業用のヤスリを手がけてきた岡部氏に爪ヤスリの目立てをお願いしたところ、切れ過ぎたんです。切れないヤスリなんかヤスリじゃないって」と同社代表の柄沢良子氏。工業用のヤスリはいかに「切れるか」が勝負。一方爪ヤスリは「切れ味」より「優しさ」が重要となります。「それでも最後は納得して見事な優しい目立ての爪ヤスリを作ってくれました」といいます。他の熟練職人ではなく、新人だった須佐氏に岡部氏の技の引き継ぎという白羽の矢が立ったのは、須佐氏の優しさ、細やかさが見込まれたのかもしれません。
優しい削り心地が嬉しい、かかとヤスリ誉。
一般的にヤスリは目が深いほど粗く、よく削れます。しかし粗い目では皮膚や爪を傷つけることにもなってしまう。「10年ほど前に岡部氏ができるだけソフトな目のサンプルを4種類作り、多くの女性にモニターしてもらって粗さを決めました」と柄沢良子氏。こちらの「かかとヤスリ誉」は、独特のカーブがかかとにフィット。ハサミからヒントを得たというマルチアングルグリップが付いていて使いやすく、ハイカーボンステンレス鋼を使用しているため錆びにくいのも特徴です。
商品番号:630-652

かかとヤスリ誉

9,350(税込)
 
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サイズ(約) 長さ22.3cm×幅4.1cm×厚さ0.7cm
重さ(約) 70g
材質 ハイカーボンステンレス鋼(SUS420J2)、持ち手=ポリプロピレン樹脂
原産国 日本

柄沢ヤスリ
昭和14年の創業以来、新潟県燕市の伝統的地場産業であるヤスリ製造を手がける〈柄沢ヤスリ〉。67年以上の経歴を持つベテランを筆頭とした職人たちが、“目” と呼ばれる溝を鏨で一目ずつ打ち込んだヤスリは、圧倒的な削り味でものづくりの現場から絶大な信頼を集めます。かつては組ヤスリを中心とする工業用のヤスリの製造を続けてきた同社ですが、近年ではその知見を活かしつつ、時代のニーズに合わせた一般向けの新たな名品を生み出し好評を博しています。

目立て機を使ってヤスリの目を立てる須佐香氏。岡部氏からは、「ふわっと上目をつけるんだよ」と教わったといいます。

〈柄沢ヤスリ〉は昭和14年に創業。社員は現在11名。写真は工場長の池田智和氏。

〈柄沢ヤスリ〉代表の柄沢良子氏(左)と須佐香氏。